グリーン・アジェンダ:メキシコ産アボカドとSDGs

グリーン・アジェンダ:メキシコ産アボカドとSDGs

メキシコにおけるアボカドが持続可能かどうかは、その取り組みによる自然環境、土壌、森林、水の保全、そしてミチョアカン州の基盤となるコミュニティの安定性が重要です。

メキシコ産アボカド輸出生産者・包装業者協会(APEAM)は、社会に責任ある農業の実践を推進することを基本方針としています。同協会の使命は、国内外の市場に最高品質のアボカドを提供するだけでなく、アボカドを持続的に栽培、収穫、輸出することを可能にすることで、ミチョアカン州のアボカド農家コミュニティを継続的に豊かにすることでもあります。

ミチョアカン州の約29,000人のアボカド農家は、自分たちの家族と将来を支えるために、多くのアボカドを米国に輸出しています。これらの農家と彼らが住むコミュニティにとっては、アボカド産業は持続可能でなければなりません。地域社会、土地、水を守ることは、メキシコのアボカド業界の中核をなすものです。

「グリーン・アジェンダ」は、ミチョアカン州のアボカド産業の持続可能性を診断する包括的な調査報告書です。
その調査結果は、アボカドの苗床、果樹園、収穫者、包装業者、輸出業者、及び、米国での消費に関するインサイトを提供しています。プロジェクトの目標は、ポジティブな競争と責任ある農法を拡張していくことで、業界と地盤となるミチョアカン州のコミュニティ内で、より高いレベルの持続可能性を達成することです。

メキシコのアボカド産業は、国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の目標に沿う形の志を抱いています。2020年9月9日には、メキシコ産アボカド輸出生産者・包装業者協会(APEAM)と国連の間で公式協定が結ばれました。ミチョアカン州、メキシコ、そして世界のアボカド果樹園の未来世代へとつながるグリーン・コミットメントです。

本ページでは、メキシコ産アボカド輸出生産者・包装業者協会(APEAM)が取り組んでいる、持続可能なアボカドのためのSDGsの取り組みなどをご紹介します。


大地を守るためのガイドライン

大地を守るためのガイドライン

アメリカで消費されるアボカドの80%以上を供給しているにもかかわらず、ミチョアカン州のアボカド果樹園の面積は州全体の2.5%未満です。また、果樹園の67%が25エーカー以下、さらに25%が25~75エーカーの小規模農家です。これらの果樹園のほとんどは、大地と密接に暮らしてきたミチョアカン州の生産者一家が何世代にもわたって営んできたものです。これら家族経営の農家が自活できているのは、その土地のおかげであり、土地の保護は彼らの保護にも繋がります。

アボカドは標高2,000〜10,000フィートの高地で育ちます。ミチョアカン州では、果樹園がさまざまな標高に配置され、多くの異なる気候を形成しています。そのため、四季折々の花が咲き乱れ、安定した収穫が期待できるのです。

また、この地域の豊かな火山性土壌は、アボカドの木や周囲の森に栄養を与え、天然の肥料として機能します。そのため、果樹園での農薬使用を減らすこともできています。木々や森は気温を安定させ、水分を保持することで土壌の侵食を軽減しています。ミチョアカン州の土壌と樹木の調和は、アボカドの生育に最適な自然温度(華氏46度から華氏86度)を維持し、この地域の生物多様性を支えているのです。

この環境の持続可能性を守るため、ミチョアカン州のアボカド園は、輸出を希望する場合は、メキシコ産アボカド輸出生産者・包装業者協会のもと、以下のアボカド栽培ガイドラインに従い、持続可能性に協力していく必要があります。

狩猟の禁止

狩猟を禁止することで、自然の生物多様性を保護し、生態系内のバランスを保ちます。

犬の放し飼い禁止

犬の放し飼いを禁止することで、犬の排泄物による汚染を防ぐとともに、自然動物の生息域を保護することができます。

牛の放牧禁止

土壌、自然の水位、木立に生育する植物相の清潔さを守ります。

労働者のための衛生サービス

衛生管理に関するサービスや教育を行い、果樹園スタッフの健康と幸せな暮らしに配慮した環境を確保しています。

定期的な健康検査

施肥担当者の血液検査を実施することで、果樹園内で使用する農薬が周囲の環境や農家自身を汚染していないかを確認しています。


220万本以上の森林再生活動

また、メキシコ産アボカド輸出生産者・包装業者協会はミチョアカン州の自然の生物多様性を強化するため、森林再生活動も行っています。2011年以来、再植林プログラムによって、220万本以上の木を植え、伐採の影響を緩和し、地域の自然生態系と生物多様性を回復させるための活動を続けています。

これらの木や植物は、生息率を高めるために苗床で育てられた後、標高に応じて植えられており、85%という驚くべき生息率を得ています。アボカド農地の自然生態系を育むことは、果樹園そのものを存続させることと切り離せません。持続可能な農業とは、この地域の森林を保護することであり、それによってミチョアカン州のすべての住民のため、土壌や空気の質、浸食の減少、水の清浄度が確保されています。

また、違法に森林を伐採する人々に対する罰則を、より厳格に要求しています。メキシコ政府と協力して伐採をより厳密に規制することで、ミチョアカンの森林の伐採を思いとどまらせることもできました。APEAMは、これまでに4,250エーカー以上を復元しながら、この地域の自然環境の美しさと完全性を保護しています。


水の保全

水の保全

生命の源である水は、農業にとってかけがえのないものであり、メキシコ産アボカド輸出生産者・包装業者協会にとっても、水の保全は最重要課題です。6ヶ月の雨季に大量の雨が降るミチョアカン州のアボカド生産地周辺は、メキシコで最も大規模な水を生み出す貯水池の一つです。ミチョアカン州の豊富な自然降雨は、州内の2つの主要河川を潤し、その多くが土壌に浸透しています。アボカド農園とその周辺の森林の日陰では、この水分が保持され、蒸発が最小限に抑えられるため、浸食が防がれています。

この豊富な雨量によって、ミチョアカン州のアボカド農園の61%は季節的な自然灌漑、36%はドリップ灌漑やマイクロスプリンクラーなどの持続可能なハイテク灌漑を利用しています。つまり、この地域のアボカド農園の 97%は主に持続可能な灌漑を中心に行っており、灌漑を全く使用していない園はわずか 3%です。


子供たちの教育支援

子供たちの教育支援

我々は2011年からLazos Foundation(ラゾス財団。農村コミュニティの総合的な発展を支援することを目的とした市民社会団体)のパートナーとして、その社会的発展をさらに高めるための活動を行っています。このアライアンスでは、アボカド生産地域内の恵まれない子どもたちや学校への教育継続を推進しており、メキシコで最も資金が不足している公立学校を25年間変革するのに役立ってきました。そして、私たち2組織は、ミチョアカン州の15の自治体にまたがる24の学校で7,839人以上の子供たちの利益のために、2011年以来協力してきました。

メキシコ産アボカド輸出生産者・包装業者協会(APEAM)は、過去10年間でラゾス財団に約300万ドルを寄付しました。これには、新入生が入学できるようにしながら、生徒を学校に通わせるための50万ドルの学用品が含まれ、ミチョアカン州の発展に貢献しました。本協会の財政支援により、州全体に5つの新しい教育施設を開設することも可能になり、教育者と保護者は生徒の成功を促進するために必要なツールと知識を得ることができるのです。実際、ミチョアカン州の平均的な成長率がわずか5%であるのに対し、このパートナーシップの影響を受けた学校の生徒数は毎年11%増加しています。

「教育は家庭から始まる」という理念のもと、メキシコ産アボカド輸出生産者・包装業者協会(APEAM)とラゾス財団の提携では、保護者向けに出席、取り組み、学業成就の重要性に関する教育ワークショップも開催しています。この取り組みは、教師、校長、その他の学校スタッフを対象とした特別なトレーニングによって補完されています。

また、学校のインフラを改善するため、メキシコ産アボカド輸出生産者・包装業者協会は43の建設プロジェクトに120万ドル以上を提供し、2018-19年度だけでも、ミチョアカン州全体で5つの新しい教育施設が設立されました。

ミチョアカン州の学校では、生徒の学業の将来が大幅に改善されたことが確認されています。メキシコ産アボカド輸出生産者・包装業者協会(APEAM)とラゾス財団が支援する学校では、小学生の100%が中学に進学しています(州平均は87%)。また、ミチョアカン州の中学を卒業した生徒のうち、高等教育を受けるのはわずか58%ですが、メキシコ産アボカド輸出生産者・包装業者協会の支援を受けているミチョアカン州の2つの中学では、96%という高い数字を達成しています。


地域社会のために

メキシコ産アボカド輸出生産者・包装業者協会(APEAM)は、ミチョアカン州の自然環境の保全と、その基盤となる地域社会の経済的安定に取り組んでいます。グリーン・アジェンダの調査によると、アボカド生産地域は道路やインフラが整備されており、ミチョアカン州の他の地域よりも貧困や疎外が少なく、社会発展のための条件が整っているという指標が出ています。

また、労働法の遵守について会員を調査し、米国農務省やメキシコの地元当局とともに、高い基準の食品安全を実践しています。アボカド産業の経済的機会と文化的影響は、ミチョアカン州からの非正規移民を劇的に減少させ、何千もの家族に祖国で生計を立てる機会を提供しました。そして、メキシコ産アボカド輸出生産者・包装業者協会(APEAM)とその協力パートナー(SADERとUSDA)が監督する持続可能で責任ある農法に従って、これらの家族や労働者は、地球の一員として重要な役割を果たしています。

真のサステナビリティとは、自然環境を繁栄させ、それによって文化、経済、地球が調和して繁栄するための基盤を提供する、ポジティブなサイクルに入ることを中核とするものです。

アボカド産業が繁栄すれば、自然の生態系に還元され、そのサイクルが永続するのです。このサステナブルな目標は野心的ですが、アボカド業界の成功と世界の繁栄のための基本となることです。


参考:
https://avocadoinstitute.org/the-green-agenda-a-cycle-of-sustainability/
https://avocadoinstitute.org/apeam/the-initiative-by-apeam-to-rehabilitate-the-forests-of-michoacan/
https://avocadoinstitute.org/newsroom/apeam-celebrates-10-years-of-social-and-environmental-support/ https://avocadoinstitute.org/apeam/apeams-support-of-local-schools-in-michoacan/

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